Standard Products(以下SP)ファンの皆さま、こんにちは。「DAISOの輪」事務局です。
SPのことをもっと知り、もっと好きになってもらいたいという思いから、本日はSPの商品を手掛けるブランドディレクターへインタビューを行いました。
デザイナー就任までの道のりや、SPファンの皆様なら、愛用したことがあるであろう商品の開発秘話について深掘ってみました。
商品誕生の背景や、作り手の想いを知ることで、皆さまのSP愛がより一層高まるのではないでしょうか。
デザイナーという枠にとらわれず、SP全体のブランディングに携わるブランドディレクター

-インタビューに入る前に、簡単な生い立ち、自己紹介をお願いいたします。
ブランドディレクター – 改めましてよろしくお願いいたします。Standard Products のブランドディレクターを担当しています。僕は高校生の時に、クリエイティブディレクターの大貫卓也さんのお仕事集を読んだことがデザイン界に入ったきっかけです。大貫さんみたいになりたいと思っていたこと、広告の世界ってこんなに面白いんだと感じてデザイナーを目指すようになりました。
そこからデザイン系の学校に進学、新卒の時にCDジャケットのデザイン会社やテレビCMの企画やキャンペーンのポスターなどを手掛ける広告制作のプロダクションに入りました。その後、マス広告が数十年前に比べてパワーダウンをしていると感じたあと、これからの時代においてモノを売るということや、商業的にデザインをするという ことをあらためて考えました。そしてブランディングデザインをしている会社で雑貨屋の立ち上げや企業のリブランディングなどの業務を経て現職にいたります。大創産業さんとは4,5年ほどの付き合いになるのですが、今現在Standard Productsさんの案件をほぼ専任で担当しているという状況です。
- デザイナーとしては異色というか、かなり幅広い分野をご経験されているんですね。
ブランドディレクター - はい。いまではプロダクトデザインとか撮影とか、Webの特集ページの記事執筆までなんでもやったりしています。(笑)
SPは、いままでの100円ショップの概念を覆す「理屈じゃなく感覚的にかっこいい」と感じさせる新しいブランド
- 続きまして、Standard Productsのデザイナー就任、ブランド立ち上げの経緯について教えてください。
ブランドディレクター -デザインの装飾性に優れているモノって、当然ながら高価格帯になるケースが多いですよね。僕は学生時代のころから均一ショップとかを見に行った際に、もっとこういうデザインにした方がかっこよくなるのにと思うことが結構あって。そこで、デザイン業界に入って10年以上経った経験を活かして、低価格帯の業界に持ち込んだら結構おもしろいんじゃないかなと思ったんです。そんな企画として大創産業さんにご覧いただいたところ気に入っていただいて今に至ります。一般的に新規のブランドの立ち上げってロゴや展開イメージだけつくるということがよくあるんですが、僕がつくった企画書は、商品設計やカラーリングの決め方とか割と深い部分まで提案していたもので、そこが信頼していただいたきっかけだったのかなと思います。
それ以降、Standard Productsの第1号の渋谷店立ち上げが世の中的にもかなりのインパクトがあったようで、テレビニュースやSNSでものすごい広がり方をしました。ですのでブランドの立ち上げだけでなく、いまもお付き合いを続けていただいているという感じです。
100円ショップ のモノのつくり方って、業界的に機能性を重視する傾向が強いんです。雑貨屋のようなブランドイメージだけとか、理屈じゃなく感覚的にかっこいいというところを目指す傾向があまりなかったので、そこを中心に取り組んでいくという点が真新しかったのかなと思います。
ニュートラルで使いやすいけど、買い物してて楽しいと感じてもらえるデザインを心がけたい。

- Standard Productsの製品は、シンプルで生活に馴染む、老若男女誰もが使えるようなデザインが印象的ですが、実際にデザイナーの立場としてはどのようなテーマで製品設計をされていますか。
ブランドディレクター - 100円の商品を中心としたショップは、かなりオールジャンルの商品がそろっていますよね。けど300円のショップって業界的にファンシーグッズのような商品がよく売れるんですよね。それに300円ぐらいの価格帯でできることってだいたい決まっていて、キャラクター物がよく売れたりするんです。そういうものを中心に商材を組み込んでいくと、どんどんファンシーショップになっていって最終的に似た傾向のショップになってしまいがちなんです。なので業界的に老若男女にウケるショップづくりってすごく難しいことのように思います。
ただ、自分が普段300円のショップに足を運んだ時に、男性の入りにくさのようなものは感じていました。なので、自分だったらこのお店に行きたいなと思えるイメージをつくりあげました。
ニュートラルでユニセックスというか、誰にも嫌われないデザインということを目指しています。
- なるほど。実際にユーザーの方にも性別や年齢に関係なく、気兼ねなく使えるブランドとして手に取っていただきたいという思いが大きくあるのでしょうか。
ブランドディレクター - そうですね。低価格業界でいうと、気軽に買い物に行けて、消費することへの罪悪感がないと言うところが大前提だと思うんですよね。たとえばオシャレな食器とか雑貨を買うのが好きでも、1点で何千円何万円もするような商品は、そうそう気軽には買えないですよね。Standard Productsの商品は単体では何万円もするような商品には見えないと思いますが、それらとならべても遜色のないような組み合わせやすいデザインを大切にしています。低価格帯なのにちょっと洒落ていて使いやすいとか、10枚ぐらい一気にそろえても気兼ねなく購入できるとかっていうのがポイントかなと思っています。
あとはお店がオープンしたてのころは、比率としてアイボリーとかグレーのようなベーシックなカラーが多かったのですが、今は買い物をする時の選ぶ楽しさをさらに意識してカラフルな展開をしています。カラージュートバッグ(各国の空港コードがデザインされた6カラー展開)とかはかなり反響があって、発売後すぐに完売しちゃったりとか、商品単体で雑誌からの取材があったりしました。ブランドのアイデンティティとして、ニュートラルなデザインだけど、年齢性別問わず買い物していて楽しいと思っていただける点で、ご支持をいただくことができているのかなと感じます。

- 組み合わせやすさ、手に取りやすさという部分で考えると、先程挙がったようなアイボリーやグレーと言うようなカラーが無難で手に取りやすいというイメージがあるのですが、カラフルなプロダクトを組み合わせやすいと言うところに落とし込むための工夫があればお伺いしたいです。
ブランドディレクター - そのあたりは割と決まっていて、ブランド特有のカラースキームという色彩設計に基づいて配色指定をおこなっています。それにもとづくことにより多色で展開をしてもある程度の統一感を保っています。
あとはアパレルに近いプロダクトは多色のカラー展開がしやすかったり、消耗品も派手なカラーリングでも購入しやすかったりします。バッグでいうと「Standard」の文字がドーンと入ったバッグも人気なのですが、”You‘re my Sunshine”みたいな、あまり意味のない英語を入れるのは避けるようにしています(笑)。英語の文字を入れる場合は、書かれていても嫌な感じがしない印象の単語を考えるのにかなり時間をかけています。
意識しているのは、買った後の満足感や、数値化できない「情緒的価値」を見出せるデザイン。

- ブランド作りをする上で、消費することへの罪悪感をなくすことや、組み合わせやすさ、見え方の部分以外で他に意識しているところはありますか。
ブランドディレクター -ブランディングやコンサルティングといった視点から言うと、「機能的価値」と「情緒的価値」という考え方があります。個人的にダイソーさんは、機能的価値でいうとホントに世界でトップクラスのレベルのところだと思うんですよね。費用対効果、コスパの面で、100円でこんなことできるんだっていう。実際に昨年度は6,000億円以上も売り上げておられるわけですが、100円ショップの業界は機能性とか容量での勝負は非常に厳しい世界なんです。なので、従来のショップにはなかった切り口を探して、付加価値としての情緒的価値をつけるというのは強く意識しています。よく例えるのは、100円のコンビニのコーヒーと500円のカフェのコーヒーって、単純に味が5倍美味しいかどうかといわれればそういうことでもないですよね。どちらかというと店内空間がステキだったり、企業活動がカッコよかったりとか数値化が難しい価値観があるんですよね。なので、このブランドをつくる上で、低価格なのにオシャレなイメージとか、高見えするとか、買った後の満足感とかの情緒的価値を意識して商品をデザインしています。
-ご自身が制作をする上でのインスピレーションのようなものはありますか。
ブランドディレクター -時間が許す限り雑貨屋やアパレルショップなどのお店を直接巡るようにしています。そこで得た商品知識やお客さまの年齢層、動向などを頭の中に日々ストックしておいて、いざ商品デザインをするタイミングで経験をもとにデザインに落とし込む感じでしょうか。
ここまでの記事で、ブランドディレクターならではのこだわり、SPのこだわりを感じていただけたのではないでしょうか。同価格帯だと、機能的価値に特化しているブランドが多い中、買った後の満足感やお買い物している際のワクワク感といった情緒的価値に着目しているというのは、Standard Productsならではですよね。ブランドがどんなところを意識して作られているか知ってから店舗に足を運ぶと、さらなる発見があるはずです。
後編では、実際の商品をピックアップし、それぞれどんな想いでつくられているのかお届けします。
10月8日配信予定ですので、どうぞお楽しみに!